みやざき木づかい県民会議

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県産材活用セミナーに参加してきました。

平成28年9月17日(土)に宮崎市のホテルひまわり荘で開催された「県産材活用セミナー」に行ってきました。

セミナー開催に先駆けて宮崎県環境森林部長の大坪篤志様より挨拶が行われました。

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1.宮崎県では県産材利用推進に関する基本方針を設けて、公共建築物の木造化や木質化に積極的に取り組んでいて、平成22年度に19.5%であった公共建築物の木造率は平成27年度には29.7%になっている。今後も県は勿論だが市町村でも、庁舎等の公共施設に木材を積極的に利用したいと考えている。

2.「CLT」については、これまで木材が使われることが余り無かった中規模・大規模建築物への利用が可能な新しい木質材料になる。本県でも平成29年度から建設予定県の防災拠点庁舎の一部にCLTの耐震壁を採用する予定で作業を進めている。CLTは新しい木造建築物の世界を切り開く大きな起爆剤になると期待されていることから、現在国を挙げて普及促進に取り組もうとしている。本県はスギの素材生産量が平成3年以降「25年連続日本一」で、国を代表する木材供給県なので、「地方創生」を実現する為の切り札としても大いに期待をしている。

3.「木づかい」は生活の中でもっと木を利用するということである。昨年、「食の万博」がイタリアのミラノで開催されたが、本県も出展して私自身も行ってきた。そこでビックリしたのが、各国が出展しているパビリオンに多くの木材が使われていた事である。また、ミラノ郊外にはCLTを使ったマンションが4棟建っていて、実際に住んでいる人達の話を聞いたが、非常に満足されていた。
 それから「木のおもちゃ」が最近普及してきていると感じている。日南市では赤ちゃんが誕生すると「木のおもちゃ」を差し上げる活動を行っていたり、諸塚村では建築家の隈研吾さんと諸塚村材を使った「木のおもちゃ」を作っていて、フランスの展示会に出展される事が新聞に掲載されていた。色んな場面で木を使うということが広がってきていると実感している。

 

セミナーの講師を努めていただいたのは、住友林業株式会社 木化営業部 副部長の “ 杉本 貴一 ” 様です。

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セミナーは
第1部 -木の力再発見-
第2部 -CLTの可能性― の2部構成で行われました。

 

第1部 -木の力再発見-

〇はじめに
・この20年間で日本人は急速に「木離れ」しており、魅力や価値を感じなくなったが、日本の底力は「木」という資源を活かすことで、木の魅力を日本人が再発見できれば、地方に眠っているポテンシャル(底力)を呼び起こせる。
・住友林業は創業以来325年に渡って山を管理し木の住まいを造っているが、今後は新築住宅着工件数の減少が予想される。そこで住友林業では「木化(もっか)」という言葉を用いて、改めて木の良さや価値を共有することで、新しい時代に木を使う可能性を追求している。
・木化という言葉は、生物学の専門分野にも有るが、私たちが用いる木化は、木造化・木質化を推進するという広い意味で定義付けをしている。

1.「木の効果を再発見」
・木は、汚れる・傷む・燃えるからといって、「木目が眼にやさしい」ことや「香りに癒される」というメリットを活かす使い方を避ける人が少なくない。木のメリットは科学的に立証できつつあるが、反る・割れるなど木のデメリットを克服する最新技術(印刷物や塗装等の最新技術)を使った木材にそっくりな「似せ物」の木調を選ぶ傾向が見られる。そして、香りも無いその木に似せたツルツルしたものに対して、違和感がほとんど聞こえてこない。今の世の中の人間は生き物としての感覚が麻痺しているのではないかと思っており、木化を掲げる私たちとしては、もう一度木のザラザラとした感覚が受け入れられるようにしたいと思っている。

2.「木のデザインを再発見」
・世界遺産に指定されている京都の銀閣寺に木の「経年美」や「味わい」を感じることができるが、その色には名前が無かった。そんな時、木偏に時と書く「榯」という漢字に出会った。時を経た木造建築の美は、「榯美色(ときみいろ)」という色の価値を持っている。
・トヨタ自動車から木の車をつくるという企画が持ち込まれた。ボディを当社と共同開発し、木の乗用車「Setsuna」を完成させた。その車は木造建築の伝統工法で組んでいるので、ボディをバラバラに分解することができ、1枚ずつ磨いたり傷んだ板を交換したりできる。愛着を持って手入れをして、親から子へ100年受け継ぐ木のクルマに「時間財」という価値が生じる。
 ミラノデザインウィーク2016では、「Setsuna」を出展したトヨタの会場の建物正面に、経年の異なる5種類の木材を使った。伐り出したばかりの白木から100年以上を経た木まで、およそ20年毎の木でグラデーションを付けて、時間と共に木材が徐々に「榯美色」に変わる様子を表している。

3.「東北復興支援における木の力を再発見」
・東日本大震災の復興支援で造った岩手県陸前高田市の10坪の「りくカフェ」は、仮設ということで工期が余り無かった。それで例えば床は桧の柱をそのまま並べて建てる、木の打ち放しのような内装になっている。被災直後は住人が集まっても重苦しい雰囲気だったが、今では料理やコーラスなどの教室も開かれるコミュニティの拠点となって、本設が建った後も使われている。愛着を持って使ってもらうことが一番だとそこで再認識した。

4.「流通材(105角柱材)活用による木の力を再発見」
・陸前高田市の隣の東松島市でも、森林の周りに教育と医療を作る「木化都市構想」を展開している。現在、建設している木造校舎の小学校は今年12月20日に完成予定で、2011年3月11日に被災して4月5日に入学した児童が来年3月に卒業するが、ずっと鉄の仮設校舎しか知らない児童に3学期だけはこの木の学校で過ごさせたいと、住友林業は総力をあげて頑張っている。
 HOUSE VISION 2013では、隈研吾さんに約1万本の105㎜角の無垢と集成材のスギ材を井桁に積むデザインをしてもらった。毎年3月11日に住民が井桁から木材を取り外して手入れを行い、災害がなければ木材は榯美色に変化していく。手入れの際に井桁の取り外し方を知っている住民は、もしもの時にはその木材を取り外してバイオマス発電の燃料に使うことができる。東松島市の担当者は美しく蓄える「美蓄」だと言った。
・オリンピックの施設等は是非105角で造ってもらいたいと思っている。オリンピックの時には貸出で材を持って来て隈さん達に積んでもらい、終わったら返して、それで駅前や色んな施設で再利用する。そんな参加型のオリンピックで、木のレガシーが出来たらと思っている。

 

第2部 -CLTの可能性-

1.「建築概要」
・「変なホテル」はスマートホテルプロジェクトといって、温熱・環境・ロボット等、色んな最新なものが有って、それがどんどん変わり続けていく事がコンセプトになっている。

2.「設計概要」
・延床は約2,000m。2階建てで木造部分はCLT、共用部の廊下はS造になる。客室は全部で72室。全体工期は2015年8月~2016年2月まで。CLTを構造材に使った宿泊施設は日本で初めてで、CLTは現しになっている。接合はラグスクリューボルトで行っている。
・遮音は2重床で、CLTの構造体に対してモルタルを40㎜打って性能を担保している。
・防火は、3室または100mごとの戸境壁と非難経路に面する外壁は防火性能を有さないといけないので、メンブレン工法にしている。
・隣の部屋との遮音と防火の関係で、各部屋の壁の一面だけをふかしているが、その空間には配線を通している。

3.「工事概要」
・7人の大工さんが、10月1日から11月7日の1ヶ月間で、540m・939ピースのCLTを使って建て方工事を行った。
・CLTは銘建工業(株)さんに協力いただいて、納まりを含めて金物を工場で組み込んでもらったので、現場ではブロックを積むような感じで進めることができた。
 
課題としては、1,000ピースだと建て方の8ヶ月前に原板を手配して、5ヶ月前には製造を開始しないと間に合わないのだが、それだと設計コンペ入札案件では難しく設計施工のプロポーザルにならざるを得ない。今回は住友林業が先行発注願いを出してCLTの製造を行ったが、建て方の契約の前に製造の契約を結ぶ、今の建設業界では余り無いスキームを取らないとお客さんから納得いただけない。
・建て方自体の期間は1ヶ月位だが、CLTの製造に5ヶ月掛かるので、先行して造ったCLTを建て方が始まる迄の間ストックする広大な場所が必要になる。

4.「完成写真」
・補助金が無くても「変なホテル」みたいな建物をCLTで建てるには、耐火・遮音についての勉強がまだまだ必要になるし、CLT製造の先行発注の部分がかなり重くなる。
・CLTの可能性として、使用者が心地良く感じる環境空間にするには、徹底的な部分使いに特化するのが良い。CLTを部分使いしたタリーズさんが流行っているが、何故流行っているかの一つに、CLTを屋根構面に使用し、現しになっている三角の屋根裏が評価されている。そこが使用者に何かを感じさせるみたいである。有効(開口換気)面積が広い事が優だと言われている屋根裏にCLTを使う事はかなり有効だと思っている。

 

 

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